バンコクのBTS(スカイトレイン)にはトイレが無いことで有名ですよね。
ですが、実は非常事態あるいは職員用に存在しています。
今回は、僕がそんなBTSのトイレに救われたお話を物語にしてみました。
この記事の目次
23:53「兆候」
「ごちそうさまでした!」
日本人街の「タニア」で夕食とお酒を御馳走になり、満腹の状態でその場を後にした。
ウィスキーを飲み過ぎたせいか、腹の内側がきゅるきゅるとしている。
疲労感と酔いもあり、お腹の痛みを完全に無視して終電へ飛び乗る自分。
今思い返してみればコレが悪夢の始まりであった。
10:05 「消耗」
話しは数時間前に遡り、本日も連日続く不動産アテンドのためお客様と物件の内見へ。
ゴールデンウィークも重なり2週間お休み無しの状態。
今日は朝からお腹の調子が悪いようだったが、業務に集中するたに平静を装った。
朝から夕方まで仕事だけを考える。
移動は基本的にBTSを使い、駅からの距離を肌ベースでお伝えするため炎天下の中ひたすら歩いた。
車中はクーラーが死ぬほど効いており、外に出れば灼熱地獄。
お腹の違和感に拍車をかける。
19:00 「躊躇」
タイのオフィス街であるシーロムからほどなく歩いたシーフード料理店「ソンブーン」で待ち合わせ。
贅沢なカニカレー炒めに舌鼓を打ちながら、ビールを1杯いただく。
ビールであればいくらでも飲める僕がこのときばかりは手が進まない。
お腹がビールを全くと言って良いほど受け付けないのだ。
21:00 「後悔」
お腹の調子が悪い以外はすこぶる健康体の僕が、2件目のお誘いを断るはずもない。
「マイペンライ(問題ない)。」
と高をくくっていたタイ人気質の自分を全力で叱咤したい。
タニアのカラオケ店に到着後、注文したウィスキーを迷わず一気飲み。
テンションも上がりカラオケも歌い倒す始末。
お腹の痛みを忘れるほど盛り上がった。
23:55 「我慢」
ほろ酔い気分、というよりは泥酔に近い状態でBTSに飛び乗った。
終電ということもあり幸い椅子にも座われ、お腹を抑えながらへたり込む。
2つ先のサイアム駅で乗り換え、ベーリン駅方面の電車に乗り換える。
この時すでにお腹の痛みは極限に近かった。
幸いなことに乗り換えたBTSでも椅子に座れ、酔いが先行したせいか気付けばオンヌット駅に差し掛かるところで目が覚めた。
あと3駅。
僕の住まいはウドムスック駅すぐのコンドミニアム。
またグッタりと寝入ってしまった。
00:20 「絶頂」
ドアの開く音とともに目が覚めた。
「ヤバい!」
終着駅のベーリン駅まで来てしまっていた。
少し寝ているうちに酔いも冷め、反対に腹痛という驚異が目を覚ます。
全ての憎悪が腹に一極集中したかのような激しい痛み。
急いで反対車線に向かいモーチット駅行きの終電に飛び乗った。
しかし、なかなか発車しない。
記憶が飛びそうになる。
調子に乗ってウィスキーをがぶ飲みしたことを未だかつて無いほどに後悔した。
が、とき既に遅し。
00:25 「発狂」
BTSが1つ目のバンナー駅に向けて発車した。
酔いも相まって肛◯のタガが限界を通り越してしまうギリギリのラインを彷徨っている。
「死ぬな!」
目の前が真っ白になり、気絶しそうな自分と肛◯を鼓舞した。
ちょうど居合わせたBTSの職員が目に止まり、無いのは承知で思い切って声をかける。
「ホ・・ホングナーム(トイレ・・)」
バンナー駅でBTSのドアが開くと同時の第一声。
職員は優しい笑みで、ついて来いと親指を立てて合図した。
「レ・・レオレーオ(早く早く・・)」
最後の力を振り絞り、大声で叫ぶ哀れな自分。
その時ばかりは20歳くらい老けこんでいたに違いない。
階段の一段一段が永遠に感じるほど長く険しい。
「頼む・・持ちこたえてくれ・・」
00:30 「昇天」
意識が飛ぶとは正にこの時である。
言われるがままに改札を出た途端、一瞬フワッと脳天がひっくり返り地面にヘタレ込んだ。
改札の外に待機していた他の職員が一目散に僕のそばに駆け寄る。
意識が朦朧としていたせいか、僕はどうしても自分のこととは思えないようだ。
職員の肩を借り、存在するのかも分からないトイレをひたすら目指す。
「あと10秒でトイレに着かなければぶちまけよう」
絶頂を通り越した自分は、そう頑なに誓った。
「ガチャ」
砂漠の片隅で小さなオアシスを見つけるほどの奇跡。
もたれた額を上げ半開きの目を見開くと、そこには決してキレイとは無縁のトイレがあった。
昇天と言っても差し支えない極楽浄土の世界にいざなわれて行く自分。
それ以降の話は差し支えることにしよう。
成就した物語ほど語るに値しない。
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さいごに
バンコクのBTSにはトイレが無いと思い込んでいましたが、実は全くのデタラメでした。
さすがに職員も駅で働いており、また緊急用としても各駅にトイレが完備されていることを知ったのは今回の件がきっかけ。
この決してキレイではないトイレに救われまいた。
ヤバい!と思ったら、すかさずBTSの職員にこう言うましょう。
「ホングナーム(トイレ)」
今後とも、快適で清潔なバンコクライフをお楽しみ下さい(笑)。

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