2015年のASEAN統合についての記事を多く書いてますが、今回はよくご質問頂くASEANとEUの違いについて簡単にまとめてみました。
ASEANとEUは一見よく似ているように感じますが、実は大きく違っています。
その違いについて知るためには、先ずはASEANとEUの成り立ちについて簡単にご紹介しますね。
ASEAN共同体
簡単に言ってしまえば、ASEAN共同体とは、主にASEAN経済共同体のことを指し、言わばFTA(自由貿易協定)の延長線上のようなものです。
FTAとは、物品の関税、その他の制限的な通商規則、サービス貿易等の障壁など、通商上の障壁を取り除く自由貿易地域の結成を目的とした、2国間以上の国際協定(wikipediaより)です。
また、安全保障に関しても、議会や通常の防衛協力に留まっています。
よって、ASEAN首脳会談で決定した事項に、法的強制力は一切無く、あくまでも「協力していきましょうね」という、言わば口約束のようなものです。
EU(欧州連合)
一方、EUとは国を超越した組織、いわゆる「超国家機構」となります。
超国家機構とは、国際組織と異なり,加盟国とその国民を直接拘束する決定を行い,決定を実施するための直接の司法・執行権能を広範に有する内部機関をもつ複数国家の連合組織(kotobankより)です。
つまり各国からの主権の一部を譲り受けた組織であり、EU法という法律で決まった事柄に対しては国家が制定する法律よりも上位に位置します。
よって、法的強制力は強く、EUでの決定事項や執行機関の決定には、必ず各国は従わなくてはなりません。
ASEAN共同体は経済的な繋がりのみを強調
2015年にASEAN統合が叫ばれていますが、実際は「ASEAN経済統合(AEC)」、上記にも述べたようにFTAの延長線上という位置づけが強いと思われます。
つまり、域内に自由貿易圏をつくる構想であり、2015年までにほぼすべての貿易で関税が0〜5%に引き下げられます。
また、観光面でも加盟国間の短期観光ビザが撤廃されるなど、ヒトの動きの円滑化も測っています。
とは言っても、就労などによるヒトの動きは限定的で、原則、自由に行き来できるのは熟年労働者に留まっていたりします。
よって、看護師などの職業資格を有するものや、その他の労働者に対しては国家間で相互承認されたとき、初めて自由に行き来することが可能になります。
ASEAN経済共同体(AEC)の未来
AECは、1997年の「アジア通貨危機」がきっかけに声高に叫ばれてきた背景がありますが、相互依存の進化する世界経済において、もはや国単位ではなく、ASEANという経済圏として、その地位を確立していく必要があります。
それは、中国あるいはインドという大国に挟まれた小国の集合体(ASEAN)として、世界の直接投資を呼び込むために決断した必然的な選択だったのかもしれません。
ASEANはEUと違い、限定的な統合に留まっており、EUとは違った別の問題もあります。
例えば、「ヒト・モノ・カネ」の動きを円滑化させると謳っているわりには、ヒトの動きは限定的だったり、法制度の違いや商習慣の違いがまだまだ未調整だったりです。
また、その他の懸念点と言えば、投資や貿易が自由化されると、それらは拡散される(拡散効果)のではなく、むしろ既に専門労働者やインフラが整った大きな消費市場を有する国や地域に集積される(集積効果)のではないかということです。
よって、既にインフラも整い市場も拡大しつつあるタイ(これが不動産市場としても魅力的)やシンガポールなど、特定の地域のみが恩恵を受けるというような経済構造も十分考えられます。
さいごに
まだまだ不十分な組織ですが、ASEANという小国の集まりが大国と対等にやり合う土台を気づけたという点では大変評価できますし、それらの小国の大きな一歩には大変な期待が持てます。
一連のネガティブ要素をどうやって克服していくのか。
今後の動向に大注目ですね。
本日もご一読ありがとうございました!


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